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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

Izmir~Cesme間の地獄行きのバス

                       ≪十月十二日≫      ―壱―

   浅い眠りだったが、午前8時には荷物をまとめてチェックアウト。
 Efesホテルを目指して、歩き出す。
 大きなホテルのすぐ前に、”Tourist Information”を簡単に見つける事が出来た。
 一面ガラス張りのドアを開けると、二人のトルコ娘が座っていて、ニッコリと微笑みかけてきた。

       俺 「I want to go Greek!」
       受付「・・・・・。」
       俺 「Can I have a boat ticket?」

   とたんに、英語で捲し立てられるが、何を言っているのやら・・・・わかれへん。
 どうして・・もっと優しく、ゆっくりと喋ってくれないもんだろうか。
 何とか・・・何とか、Abdullar・エージェンシーを紹介してくれた。
 ギリシャへ渡る、船のチケットを扱っている所らしい。

   Izmirの街も、まだ朝が早いらしく、人通りも少ない。
 紹介されたA.E.は、T.I.から歩いて四五分の所にオフィスがあった。
 ここにもトルコの美人が待ち構えていた。
 その中でも一番の美人の居るデスクの前に腰を下ろし、早速交渉に入る。

       俺 「I want go to Greek!」
       受付「OK!」

   どうやら、簡単に通じたらしく、チェスメ~チオス間のフェリー・ボートのチケットを作ってくれた。
 シーズンによって時刻表が変わるらしく、今の時期は月曜日と水曜日以外は毎日出航しているとのこと。
 十一月に入ると、観光客もへってくる関係で便数も少なくなるらしい。

   渡された案内書には、10月30日までの出航予定しか書かれていない。
 空路か陸路以外ダメだとしたら・・・運が良かった?
 支払うだんになって、ムッと来た。
 チケットと交換で、トルコ・リラを出すと、”ダメ!”と拒否されてしまったではないか。

       受付「ノー!US$で支払ってください!!」
       俺 「トラベラーズ・チェックでも良いのか?」
       受付「USドルならね。」
       俺 「OK!」

   T.C.10US$を支払う。
 US$を持っていない人は、直接出航場所であるチェスメの街で、チケットの購入をお勧めします。

       俺 「チェスメ行きのバスはは、どこから出ていますか?」

   バス・ガレージを教えてもらい、海を右手に見ながら南へ歩き出した。
歩いてみると、街の様子や街の大きさが分かると言うもの。
 海岸線に沿って暫く歩くと、鳩が集まっている広場とその中心に立っているタワーが見えてきた。
 この時間になってくると、街も活気付いてきて、出店とか果物市場が軒を列ね、 その向こう側にバスだけが並ぶガレージが見えてきた。
 ここが、”Konak Isk.”と言う所らしい。

   ここまで来ると、客引きだろうか?
 ”チェスメ!チェスメ!”と言う声が響いて聞こえてくる。
 11時発のバスチケットを、10T.L.(225円)で購入。
 まだ、時間があるので、広場に腰を下ろし一息つく。
 何しろ、このバスにさえ乗ってしまえば、今日の予定は終るわけだ。

   チェスメの街は、Izmirの街から西に延びている半島の先にある。
 エーゲ海に面した港町だ。
 その半島から西の目と鼻の先にある島が”Kios”と言う島だ。
 ここはもうトルコではなく、ギリシャ領の島になっている。
 ギリシャに入る第一歩がこの島”Kios島”という訳だ。

   のんびりとした気分とは裏腹に、この時期からお腹の具合が急におかしくなり、魔のチェスメ行きバスになろうとは、夢にも思っていなかった。
 日本を出てすぐ香港や台湾で、軽い下痢を起こしてしまって以来の下痢になってしまったようだ。
 何が原因なのかは検討もつかない。
 軽いとは言え、下痢は下痢。
 おまけに、ダイレクト・バスだと言うのに、トイレがついていない。

   まだこの時期は、80キロぐらいだから、何とか持つだろうと言う楽観論が俺の頭を支配していたのかも知れない。
 トイレも見つからず、出発の時間が来て、仕方なくバスに乗り込む。
 乗客はまばら。
 チケットにシートNO.が書かれている。
 一番前のシートだった。

   このバスが地獄行きのバスだとは気づかず。
 バスはゆっくりと走り出した。


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